上下游新聞市集が巻き起こす農業の話題
2011年9月にスタートした『上下游新聞市集』は、奥行きある報道で土地や農業、食に関する話題への重視を引き起した。2年余りで月間閲覧数が延べ100萬人以上、フェイスブックの「いいね」が8万人を超した。読者の粘着度(website?stickiness)も極めて高い。「小学校給食調査シリーズ」「米無しビーフン」「心配な痩肉精(ラクトパミン)」等、食の安全に関するニュースに主流メディアが追随し、政府の政策決定にまで影響を及ぼした。
『上下游新聞市集』とは、川上と川下、ニュース、マーケットの3つの概念からなる。「川上・川下」はメディアと読者、食物生産者と消費者の関係の比喩である。上質の「ニュース」をコミュニケーションの媒介とすれば、川上と川下がより理解し合い、一連の食の安全問題で引き裂かれた信頼感を修復できる。これを行動に転化し、消費者がウェブマーケットで安全な有機の農産物を購入し、農家も滞りない販売で理想を持ち続けられる。
3つの概念の関係は一見複雑だが、適切なサイト構築で、メインページに入れば一目瞭然、ユーザーフレンドリーである。『上下游新聞市集』のページデザインはニュースを主体に、マーケットは副次的な位置にある。ニュースソースは2種あり、一つは自社の記者3名と編集1名が書く深みのある報道記事で、もう一つは小規模農家を主とした6百人以上の登録ライターによる文章である。そのため記事の数には「季節性」が見られる。「農家のニュース素材は農作業や産地の様子に集中するので、収穫期には文章が大量に寄せられ、繁忙期には激減します」とサイトプラン担当の蕭名宏がいう。
サイトでは「情報告知欄」を設け、台湾各地の小規模農家市場、有機講座、農産物購入などの情報が伝わるようにした。独立報道の初心を貫くために外部広告は受け付けず、プレイスメント・マーケティングもせず、読者に共同出資者になるよう呼びかけ、年会費300元でサイト運営を支えている。
一般のサイトでは両側の広告を配置する位置に『上下游新聞市集』は小規模農家の商品写真を置き、ショッピングのルートが容易に見つかり、有機食品とオリジナルブランド商品が買える。利用客の多くが主婦で購入量は安定し、リピート率も高い。ショッピング部門の利益も『上下游新聞市集』の運営を維持する主な収入源になっている。
「上下游新聞市集」の創設者の一人、蕭名宏(右から2人目)が会社の経営を担う。同サイトは実体店舗と手を組み、小規模農家の商品も扱っている。