1日3000人か1000人か
海峡を挟んだ観光市場はすでに成熟しているが、実際にどれだけの人が来訪するのか、公式と非公式の数字は大きく異なる。双方にそれぞれ思惑と懸念があるためだ。
姚大光会長は、大陸の先遣団と台湾の旅行業界の交流会において、大陸の海峡両岸旅行交流協会に対して両岸間の合意を着実に実施するよう求めた。つまり7月18日以降は1日3000人の旅行を着実に認めてほしいということである。「本当に台湾旅行を希望する人がそれほどいないのなら、我々は台湾側の問題を検討します。しかし、台湾は1日3000人の枠を認めているのに、中共側が1000人しか認めないというのでは困るのです」と言う。
しかし、6月中旬に先遣団を率いて来訪した大陸の海峡両岸旅行交流協会副秘書長の范貴山氏は、初期は1日1000人を上限とし、その過程で信用の良い旅行社を選択し、価格競争を避けなければ市場を育てることはできないと述べた。
大陸側にとって、台湾旅行の自由化は台湾経済振興の助けになるだけでなく、より重要なのは両岸の人々の交流が促進できることだろう。集団のお見合いと同じで、男性のグループがマナーを無視して闖入してきたのでは、悪い印象を残し、挽回するのは難しい。最近は大陸のマスコミも「イメージ」を悪くしないよう、旅先での行動に注意するよう呼びかけている。
大陸のライター周東飛さんは北京の「国際先遣報道」に「台湾旅行は、大陸観光客の質とイメージの大検証になる」と書いている。
「大陸同胞の台湾旅行に対し、台湾島内は全体的には歓迎ムードだが、一部にはそうでない声もある。一部のメディアは、日本からの観光客が減少していることについて『大陸からの団体が大声で話し、順番どおりに並ばない』ことなどを要因の一つに挙げている」
「大陸観光客に対しては確かに悪い評価が出ている。欧州のホテル業界が世界各国の旅行者のイメージを評価したところ、中国人旅行者の評価は下から3番目だった。『ここにゴミ箱があります』『トイレ使用後は水を流してください』といった大陸観光客のためだけの中国語の標示があるのを見ると恥ずかしくなる」周東飛さんは、公共の場で痰を吐き、大声で騒ぎ、座席を奪い合い、暑いからと靴や服を脱ぎ、さらには子供にその辺で大小便をさせるといった行為は、中国人観光客の「非文明的」行為のイメージとして定着していると指摘する。
このため、大陸当局は台湾旅行に条件を定め、初期は北京、上海、山東、江蘇、広東など、沿海地域の住民に限り、また正規の職業を持ち、台湾ドルにして20万元相当の預金証明を提出しなければならない。