傷ついた心を愛でいやす
神父は助けを必要とする人を天主堂へ連れ帰り、親がフランスに残した資産を売ってまでして彼らの住まいを確保してきた。
しだいに人数が増え、資源回収の仕事もシステム化した。分類し、家電製品の金属を外し、ペットボトルと他のプラスチックを分ける。それぞれ回収価格が違うからだ。
神父は、参加者それぞれの能力に応じて仕事を分配する。体力のある者はトラックを運転して各地から資源を回収してくる。
身体が少し不自由でも、再利用可能な品物の分別などはできる。玉里病院の宿舎の外には古本屋を作り、心身障害者が交代で店長を務める。
神父が指揮を執る回収センターは古びてはいるが、きちんと整理されている。夕方、仕事が終わる前に、皆で床を洗い流して清潔にしており、資源回収と言えば乱雑で汚れているというイメージを払拭している。
回収ステーションには簡単な調理場があり、働いている人々が昼食を作って一緒に食べる。冗談を言い合ったり、悩みを打ち明けたり、まるで家族のようで、そうした中でモアル神父は皆の優しい父親なのである。
時には喧嘩になったり、かつての悪い習慣が出たりすることもあるが、神父が彼らを見放すことはない。神父は、集団生活は互いに影響を及ぼし合うもので、正しい道へと戻る心の支えになると信じている。回収するのは資源だけではなく、彼らの心なのである。
モアル神父(前列左)は、資源回収を通して、心に傷を負った人々に自信と笑顔を取り戻させた。