評論家の賞賛で文化外交
「台北フィルの優れた演奏が、情熱と興奮を極めた解釈を生み出す——コントロール、パワー、どの面も忘れがたい」——Stephen Brookes、『ワシントンポスト』 (2006.7.17)
「台北フィル室内楽団がボストン・オーケストラホールで奏でた最初の音から、人々を震撼する力があった」——リチャード・ダイヤー、『ボストン・グローブ』(1995.10.10)
海外へ出てから、台北フィルは著名評論家から数々の高い評価を得て、世界の舞台で輝いた。
団長の頼文福は、民間の音楽団体は資金集めが困難で、まるで貧乏旅行だったが、幸い演奏は世界の音楽界に高く評価されたという。当時台湾で重視されなかった台北フィルにとって、極めて心強いことだった。
クラシック音楽は評価が重視されるが、データでランキングが出るわけではない。一回一回演奏を重ねていくしかない。頼文福は言う。「文化や音楽の評価には決まった基準がありません。国際的な高い評価を重ねることで、その楽団のレベルが分かれるのです」
海外公演のたびに、翌日の新聞にどんな批評が載るかと緊張と期待が入り混じる。高い評価が書かれていても数分喜んだら、また荷物をまとめて次の国へ向かう。旅の疲れがあっても、地方ごとの聴衆の好みに合わせ、現地で楽譜を探して臨時練習する。全てはよりよい演奏のためである。
2001年、アメリカ同時多発テロの直後、台北フィルは9月14日にフィンランド・ヘルシンキのコンサートホールで演奏している。「ノルウェーの作曲家・グリーグの『過ぎし春』を追加し、深い悲しみを表現しました。翌日、現地メディアが大きく報道し、在フィンランド公館の呉明彦大使もバックアップしてくれました。その後、米国大使館から現地代表処に感謝の手紙が届きました。その演奏は台北フィルが2007年に北欧を再訪する契機にもなりました」台北フィルは民間の力で自ら道を探して、国際的な音楽の殿堂で演奏するチャンスを手に入れ、文化外交で輝かしい成績をあげているといえるだろう。
台北フィルは常に台湾の大地とのつながりを大切にし、台湾の特色ある作品を世界で演奏している。(胡福財撮影)