年齢は数字ではなくストーリー
誰でも年齢にかかわらずファッショナブルであれるはずだが、体型の変化などから、高齢者にはなかなか似合う服が見つからない。
そこで5月末、実践大学と台北医学大学が共同で「エイジング・ファッション」ワークショップの成果発表会を開いた。デザイン学科の学生たちが年配者のニーズを考えてデザイン製作した服飾である。年配のモデルが自分のためにデザインされたファッショナブルで快適な服を着てステージを歩き、自分を表現した。
実践大学服装デザイン学科の謝詠絮副教授は、学生たちが一対一で高齢者と交流して観察するというのは一つの生活体験であり、ここからさまざまな可能性が生まれると言う。講師の徐敏榜は、高齢化が進むにつれて、デザインの世界でも高齢者のニーズを考える必要があり、このカリキュラムは非常に有意義だと考えている。
参加型の相互交流だけではない。教員たちは、老化を疑似体験できる特殊な装備やメガネを借りてきて、それを学生に身につけさせた。特殊なメガネをかけると目は見えにくく、装備によって手足の関節は硬くなり、自由に動けない。こうして高齢者のニーズを実際に理解していった。
年を取ると腕や腹部に脂肪がたまりやすくなり、猫背や手術の影響などで体型も変わってくるが、これらも実際に寸法を取ることでわかる。謝詠絮は、衣服のデザインや快適さに影響するこれらのディテールを詳細に観察し、デザインで体型をカバーするよう求めた。
「大切なのは関心を寄せることですが、それを強調しすぎてはいけません」と謝詠絮は言う。徐敏榜は例を挙げる。高齢者にとって安全は非常に重要だが、肘や膝にサポーターをつけて行動したいと思う人はいない。そうした中、学生たちはハチの巣状の生地を見つけ、それを衣服の一部に縫い付けたところ、外見には影響せず、耐久性や保護の機能を高めることができた。
授業の中で、長年にわたって高齢の家族を介護してきた経験を学生たちに語った講師の馮紫蘭は、このカリキュラムは愛に満ちていると感動した。学生たちは積極的に年配者の物語を理解し、その人の立場に立って課題の解決方法を考えたのである。このカリキュラムによって、高齢者への関心は、年齢という数字から一人ひとりの人生の物語へと変わっていき、「エイジング・ファッション」計画を温かいものにした。
「ファッションは勇気をもって見せること」「自信こそファッション」「ファッションは楽しむことが大切」と、それぞれ謝詠絮、徐敏榜、馮紫蘭は言う。年齢は自己表現を阻むものではなく、人はどんな状況でも自分の最も美しい姿を表現するべきである。人生はそうあるべきで、イケてるおじいちゃん、イケてるおばあちゃんも当然のことなのだ。
林天扶は、公園に散歩に来ていた犬を借りてきて一緒に写真に納まった。(荘坤儒撮影)
林天扶の本業は足裏マッサージである。外見の若々しさを保つには健康に気を遣わなければならないと言う。
ボヘミアンおばあちゃんは、たくさんの玉のアクセサリーを身につけている。
78歳の林江絹代は、楽観的な態度で人生と向き合ってきた。
実践大学の学生たちは、高齢者のためのファッショナブルで着心地の良い服をデザインし、ステージを歩いてもらった。(実践大学服飾デザイン学科提供)
年配者と向き合う時、年齢という数字ではなく、その人生の物語に光を当てて理解してはどうだろう。
イケてるおじいちゃん、おばあちゃん。いいではないか。