台湾では文化クリエイティブ産業が盛んで、創意に満ちた商品が次々と打ち出されているが、その重要な要素は「デザイン力」であり、それはまた「素材」とも密接に関わっている。今月号のカバーストーリーは「自然空間」を出発点に、人と自然と空間素材との関係や、植物や自然素材のさまざまな可能性を見直してみる。ユニークなデザイン思想によって、自然素材の豊かな世界は広がっていく。自然素材はまた、そこに暮らす人に自然がもたらす奥深い空間を体験させ、深い感覚をよみがえらせてくれる。
このように都会でも自然に触れられるが、今月『光華』の取材班は「ゴボウの里」と呼ばれる屏東県帰来地区を訪れた。ゴボウ産業が地域にもたらした可能性を語る陳建行の物語をお読みいただきたい。また、李清勇·黄素秋夫妻は、日本統治時代に高級ヒノキ家具を作った際に出た廃材を利用してヒノキのエッセンシャルオイルを作り、台湾の森の香りを世界に紹介している。このほかに、古い建築物のリノベーションで多数受賞している柏成設計の邱柏文には、古い家屋をどのように活かし、かつ新たな生命を吹き込むかを語っていただいた。
このほか、電子書籍プラットフォームである読墨(Readmoo)の龐文真CEOとそのチームに、電子ブック市場や会社設立当初の理念についてお話をうかがった。南投県埔里に敷地面積9ヘクタールを占める「中台世界博物館」は、世界各地から集めた仏像や経典など貴重な仏教文物を収蔵している。長安の古城を模した壮大な建造物の内部は最新のテクノロジーを備えており、内部には18の展示ホールがあり、1176点の文物を収蔵している。仏教文物に興味のある方はぜひ訪れてみていただきたい。
今月の『光華』座談会は、台湾アジア交流基金会とともに「移動する東南アジア——新住民が見る新南向政策」と題して開催した。テーマサロンやワークショップなどの形で、新住民(海外から移住してきた人々)とともに「文化シェア」「芸術創作」「権利獲得」「自己啓発」などの面から討論し、経験を分かち合い、円満に座談会を終えることができた。新型コロナウイルスの流行が続く中、『光華』は僻遠地域へ本を贈る活動を続けており、各地の学校や教会、養護施設などから大きな反響をいただいている。デジタルであれ、紙であれ、読書を通して知識が得られるだけでなく、世界各地の生命の物語に触れることができる。『光華』の多様な内容が、また一つ違う読書の喜びを伝えられたら幸いである。