家族を愛するのは当然のこと
芸能人として、呉鳳は自分の方法で多くの人に喜びとポジティブなエネルギーをもたらしたいと考えている。「私は自分をダイアモンドに喩え、一番ふさわしい場所で少しずつ磨いて光を放っていければと思っています」と言う。彼は昨年からYouTubeで動画も発表し始めた。簡単な器材で日常生活を記録し、編集方法を学びつつ模索している。仕事が忙しくても、週に3本以上の動画をアップすることを自らに課す。生活を記録し、自分の考えを人々とシェアするためだ。
例えば、トルコから来た友人を連れて台北市立動物園へパンダを見にいく様子。妻の妊婦検診と新たな生命の誕生などだ。ある時は、台北駅に泊まり込み、ドキュメンタリー風にホームレスの人々に関心を寄せる。自分が病院に行ったときは、台湾の国民皆保険制度と医療の進歩を紹介する。映像にはトルコ語の字幕を付けている。
呉鳳はすでに『土包子愛台湾』『来自土耳其的邀請函』の二冊の本を出している。一冊目は、彼の目から見た不思議な台湾、二冊目は台湾人に彼の故郷であるトルコを紹介する内容だ。家族を持った今は、叔母から学んだトルコの家庭料理を中心に、食文学を書いている。
たった一人で留学して来た彼は今では台湾で妻と子を得て根を張っている。家族を愛し、家族の長所も短所も受け入れるのは、彼にとって当然のことだ。だが、人から「台湾を好きになってくれてありがとう」と言われると困ってしまう。台湾には誇れるところがたくさんあるのに、台湾人はそれに気づいていないからこそ、彼は自分の方法でこの土地のすばらしさを伝えたいと思うのだ。
去年、彼は台湾に帰化し、父親も安心してくれた。息子の台湾での暮らしがより保障されたからだ。今年初め、その父も世を去ったが、今は天国で彼とその家族を見守っていることだろう。
どこへ行っても呉鳳はすぐに現地にとけ込み、台湾の最も美しい風景の一部と化す。