インキュベーターを超える役割
スタートボードは、今では東南アジアとインドからの起業の専門家だが、当初は知名度もなく、起業しようという人も少なく、まったく収入の道がなかった。
そこで、起業を志すチームのサポートにさらに力を注いだ。相手の立場になり、外国人が台湾に来た時にどのような課題に直面するかを考えたのである。「力を入れたのは起業当初の支えとなることです。ここが一番難しいところです」と語る林致孚は、彼らの人脈形成や売上向上に全力で寄り添ってきた。
例えば、ベトナムのINNOVIZというスタートアップの場合、出資者がベトナム人だったため投資審議委員会は外資と認定し、審査に5ヶ月もかかり、さらに設立後の最初の受注まで、さらに時間がかかった。林致孚は、INNOVIZとともに一軒一軒営業に回り、ようやく桃園市政府の案件を受注することができた。
「この受注額はわずかでしたが、INNOVIZにとっては大きな価値がありました」と言う。翌年、同社は最初の受注経験で信用を示すことができて、大手スーパーの全聯や台中花博から依頼を受け、売上は10倍に成長したのである。今では台湾とベトナムの両方に拠点を置いている。
シンガポールとマレーシアのメンバーから成り、フィンテック分野に取り組むAImazingのケースでも、スタートボードは会社設立と特許契約をサポートし、銀行団訪問にも同行した。「当時、台湾ではレギュラトリー・サンドボックス制度がまだ完備していなかったため、私たちは立法委員やマイクロソフト関係者への訪問にも協力しましたが、最終的には市場を考慮してシンガポールで業務を開拓することにし、IT部門だけ台湾に残しました」と言う。
当時台湾ではフィンテックを発展させる制度が整っていなかっため、会社はシンガポールに移ったが、情報工学など台湾の強みを活かせる研究開発部門は台湾に残したのである。
宜蘭のスタートアップ・ハブを訪れて、現地の留学生と交流するスタートボードのブランド大使。