世界的に「スマートシティ」が大きな流れとなる中、台湾も遅れてはいない。政府が打ち出したスマートシティ発展計画「アジア・シリコンバレー」に従い、台湾の五大都市はそれぞれに「スマートシティ・プロジェクト・オフィス」を設置して新たな取り組みを進めている。
今月の光華は、台湾の大都市が防災や交通、大気汚染などの問題をいかにスマート・テクノロジーを用いて解決しているかをご紹介する。また編集部は、農村を訪ねてIoTやビッグデータ、スマート・マシンの農業への応用を取材した。さらに、漁業と繊維産業が結びついて開発された、世界的にも注目されている機能性ファブリックもご紹介する。
タイでも同じく台湾の産官学の力を結集し、我が国の駐タイ代表である童振源の協力の下、タイの台湾企業会聯合会が「タイ台湾ハイテクセンター」を設立した。210名に上るさまざまな分野の専門人材を招き、これまで単独で戦ってきた台湾企業にハイテクの実力を持つ強い後ろ盾ができた。
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新竹県尖石郷の標高1500メートルに位置する司馬庫斯は、台湾で最も開発の手が入っていない先住民集落の一つである。ここの住民たちは土地を共有して仕事を分担し、所得を平等に分配するという、台湾で唯一の「協同組合制」の実施に成功した。これによって都会に出ていた若者のUターンが始まり、故郷の持続可能な発展が実現している。彼らがいかにこの快挙を成し遂げたのか、詳しく報道する。
緑の中を抜け、胡適の没後に建てられた陳列室に入ると、一面に説明パネルが貼られ、当時のノートや原稿、注を書き入れた書物などが並ぶ。これらは重要な文化遺産であり、後世の研究にとっても貴重な史料となる。胡適旧宅を訪ね、思想家であり、評論家、外交官でもあった一代の碩学の生涯を振り返ってみたい。
また、フォトエッセイでは蘭嶼を訪ね、海と共存するタオ族の文化に触れていただきたい。
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台湾には豊かな文化に根付いた芸術が、人々の目に留まるのを待っている。科学イラストを描く専門家や、タイ語放送のパーソナリティ、そして台湾林業の百年を見守ってきた木材産業の専門家にも注目したい。
「光華」は長年にわたり、台湾の各地でさまざまな分野に携わる人々とその精神や理念を掘り起してきた。これこそ台湾の真の姿だからである。台湾の大地とつながった想いや価値を集めれば、それらは海外の華人や外国の方々に台湾を知っていただく懸け橋となる。それこそが最も美しく感動的な台湾の姿なのである。