日本、タイ、ドイツとコラボする台湾の舞踊家が見せてくれるのは、自身の創作エネルギーだけでなく、文化と国境を越えた暗黙の了解と包容力、融合の成果である。今月号では、海外との共同制作に取り組むアーティストたちのさまざまな姿をご紹介する。舞踊家と振付家の役割の切り替え、成功した舞台作品の背後にある彼らの努力や心境の変化をご覧いただきたい。
芸術家は、対立を乗り越えて融合し、また矛盾の張力の中に生命の価値を見出す。こうして精神が満たされていけば創作が枯渇することなどない。李光裕の「闘牛」シリーズは、東洋の禅や民俗の要素を豊富に取り入れ、2017年の第57回ベネチア・ビエンナーレで高い評価を得た。芸術と文化、そして人生は、国境を越えた舞踊団の共同制作に体現するとともに、彫刻作品にも表現され、台湾の芸術の姿を世界に見せている。
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さまざまな困難を乗り越え、台湾が自主開発・製造した高解像度光学観測衛星——フォルモサット5号がついに打ち上げられた。だが、真の試練は打ち上げ後に始まった。電力や画像などの問題が次々と襲ったのである。我が国の技術者たちは、いかに英知を結集して難題を解決し、台湾の宇宙技術の実力を発揮したのだろうか。
台湾の省エネと環境保全に貢献するガラス再利用の物語もご覧いただきたい。台湾のガラス回収率は世界2位で、なかでも「春池玻璃」の回収量はその7割を占め、これにより削減できる二酸化炭素排出量は、大安森林公園500個分もの量に相当する。彼らは循環型経済を実践するとともに、防火機能の高い省エネタイルを開発し、またさまざまなデザインの製品を生み出して、循環型の持続可能なグリーン産業への道を歩んでいる。
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海外で活躍する華人ビジネスウーマンが組織する世界華人工商婦女企管協会(世華会)は台湾に本部を置き、設立以来20余年にわたって女性の経済力向上と慈善活動推進に取り組んできた。我が国の国民外交には欠かせない新たなウーマンパワーとなっている。今月号では、初めて海外在住者として総会長に選ばれた黎淑瑛を訪ね、世華会の奮闘と歩みを振り返る。
かつて台湾のいたるところにあった雑貨店は、多くの人に共通する幼い頃の記憶である。何ということのない小さな店の密度は現在のコンビニのそれより高く、それぞれの地域の産業の盛衰を見守ってきた。こうした地域との結びつきは、今月のフォトエッセイでご紹介する金門の建築物の変遷にも共通する点がある。伝統の؛ش南式建築から、故郷に錦を飾った華僑の洋館、軍事施設、そして近年の海辺のカフェまで、建物のひとつひとつに百年の光陰をたどることができる。