台湾特有の座ったままのシャンプー
台湾人にとっては珍しくないが、座ったままシャンプーをするのは台湾特有の方法だ。
城市洗頭文化実験の曾敬淳は、昔の美容院の洗髪には、眉毛カットや爪切り、肩や首と手のマッサージなどがセットになっていたと言う。美容院から出ていくお客の姿全体が美しく整っているようにする、という考えからで、お客さんを美しくしたいという情熱が感じられる。
台北市女子美容商業組合の理事長である陳徳生によると、シャンプーとマッサージがセットになっているというのも世界で台湾だけのことだという。陳美華が高雄の美容院チェーンに行ったときは、シャンプーと同時に目の周りのマッサージもしてくれ、熱いタオルで目を温めてくれたそうだ。シャンプーに行ったのか、マッサージに行ったのか忘れてしまうほどだったという。
数が多いため、台湾の美容院は競争も激しく、価格競争に陥っている。陳徳生によると、都市部ではシャンプー料金は200~500元だ。陳美華によると、シャンプーは美容師とお客が親しくなるための「サービス」と考えられており、欧米のように単なる労務とは見ていない。そのため料金は安く、多くの中年女性や会社員、さらには大学生までがシャンプーのために美容院を訪れる。
台湾式シャンプーの洗髪、マッサージ、ブローという一連の流れにも注目したい。イギリス留学経験のある陳美華によると、イギリスでは洗髪、ブロー、カットにそれぞれ料金が定められている。一方の台湾では美容師は必ずブローでお客の髪形を美しく整えないと仕事は終わらないと考える。昔は前髪をブローで高く盛り上げるのが流行したこともある。
座ったままシャンプーとマッサージを受けるという台湾の方法は、多くの外国人をひきつけている。YouTubeだけを見ても、タイのAlizabeth娘娘はこれを「台湾の特産」と紹介し、韓国のKorean Brothersは泡アートを体験して紹介し、フランスの「Bonjour Louis!我是路易」とBorisは高雄で理髪店の洗髪を体験し、二人そろって「すごく専門的でスピーディ、気持ちよかった」と紹介している。しかも料金は一人わずか120元で「なんて安いんだ」と語っている。(洗髪料金は店によって違う)
機転の利く業者は台湾式シャンプーにビジネスチャンスを見て取り、台北駅や台北西門町などの観光スポット、外国人が泊まるホテルがあるエリアなどに、観光客をターゲットとした台湾式シャンプーを打ち出した店を出している。シャンプーにきめ細かなマッサージや、エッセンシャルオイルを使ったマッサージ、それにトリートメントなどを合わせており、観光客も毎日美しくなって気分よく過ごすことができる。