スポーツを通して世界へ出ていく
2009年のワールドゲームズ高雄大会は、台湾で開催された初めての国際大型競技大会で、大成功を収めた。国際ワールドゲームズ協会のフローリッヒ会長も、それまでで最も成功した大会だったと称賛した。「ワールドゲームズのように台湾はこれまでに国際大型競技大会の開催に成功しているのですから、これからも開催権の獲得に努力しなければなりません」
スポーツはスポーツに帰し、不必要な政治的要素の影響を受けるべきではなく、現在の五輪方式で実力を高め、世界に認められることが大切だ。「当初、IOCのサマランチ会長が、台湾海峡両岸に合意を求めたのが今の五輪方式です。選手の参加する権利を剥奪してはならないからです」と言う。ウエイトリフティングで五輪の金メダルをとった許淑浄選手のように、実力を世界に見せることこそ最良の宣伝となるのである。
また、2011年に林義傑がシルクロードを走破しようとした時、沿線の多くの国は我が国と外交関係がなく、ビザが取れなかった。これを知った呉経国はすぐに各国のオリンピック委員会と連絡を取り、ビザ取得への協力を求めた。中には先導車を出してくれる国もあった。中立のスポーツを通せば、政治的に解決できない多くの問題も解決できるのである。
しかし、全国民にスポーツの習慣を普及させるのは容易なことではない。まずは単一競技のアジア地域選手権の開催権を獲得し、そこからさらに世界レベルの大会開催を目指すべきであろう。単一種目から始め、政府とメディアがともに努力して少しずつスポーツに対する国民の興味を高めていく。今回のユニバーシアード台北大会でも、各国選手の情報や我が国が強い種目などについては、メディアが広く伝えていく必要がある。そうして台湾の政府と民間のスポーツマンシップを世界に知らせていくのである。
2009年のワールドゲームズ高雄大会は、それまでのワールドゲームズの中で最も成功した大会と称えられている。(荘坤儒撮影)
1992年のバルセロナ五輪で、台湾代表野球チームは銀メダルに輝いた。