テクノロジーが教室の壁を壊す
身長180センチ、青いシャツを着た呂冠緯は、2017年12月からは均一プラットフォーム教育基金会の董事長兼CEOを務めている。彼が均一にもたらした変化を訊ねると、学校の先生のようにホワイトボードに英語を書き始めた。「1.スマート・アシスタント、2.トレーニング・コーチ、3.ポリシー・アドボカシー(政策提言)」。まるで教材ビデオを見ているかのようである。
「均一はAIとビッグデータ、それにソフトを活用して、スマート・アシスタントを教師と学生のツールとして提供し、教室の黒板も消えることはなくなります」と呂冠緯は説明する。
スマート・アシスタントのコンテンツは、均一プラットフォームで無料で見ることができる。ベテランのボランティア教師が録画した、小学校から高校までの数学、理科、英語などの授業動画が1万本以上あり、それぞれの授業後の練習問題も提供される。
「オンライン家庭教師」を得て成績が伸びた生徒は大勢いる。例えば桃園市の小学5年生の子供は、それまで成績が悪く、教員から注意欠陥・多動性障害ではないかとも疑われたが、均一プラットフォームで勉強するようになって一年後、成績はトップ5に入り、中学の内容まで自分で勉強するようになった。実はこの子にとって、小学校の授業は簡単すぎて退屈だったのである。均一では自分で先へ先へと進むことができる。
逆に自分より低学年の授業に戻って学ぶこともできる。宜蘭県の小学5年生の生徒は中度の知的障害があり、足し算もよくできず、5年生の授業についていけなかった。そこで均一で1年生の内容から始めると、少しずつ自信を取り戻した。それまで自暴自棄になって授業も休みがちだったが、今では毎日学校へ通っている。
「テクノロジーは大きな機会をもたらします。生徒は自分のテンポで学習でき、教師は生徒に合わせて教えることができます」
2018年、均一は台湾で初めてGoogle.orgの資金援助の対象チームに選ばれた。(均一プラットフォーム教育基金会提供)