国の看板産業——無人航空機
2004年に羅正方がGeosatを設立した時、無人航空機はまだ知られていなかった。当時は映画に出てくるだけで、台湾の産業界はこの先進技術において全くのゼロであり、それは羅が無人機を推進する上で最大の障害となった。1960年代生まれの羅正方は、奨学金を得てテキサス大学オースティン校に学んだ。台湾初の、GPS(グローバル‧ポジショニング‧システム)をテーマに論文を執筆した大学院生でもあった。
空と宇宙の探索への憧れを胸に、羅正方は幸運なことに、アメリカ航空宇宙局(NASA)の火星研究に加わり、博士号も取得し、8年をオースティン航空宇宙研究センターで過ごした。
帰国後、羅正方は成功大学衛星情報研究センターCEOを務め、漢翔航空工業(AIDC)のCEO任内に、第2世代経国号戦闘機F-CK-1(IDF)の性能向上を完成させている。これまでのキャリアは航空宇宙工学と切っても切れない。
起業を考えた際も、自然な流れで商用無人航空機を選んだ。「航空宇宙産業は国の看板産業です。中でも無人機は全面的な付加価値的応用が見込め、国の航空宇宙産業に活路を見出してくれるでしょう」と羅正方は起業の初心を語る。
初期は無名だったGeosatだが、2014年の高雄ガス爆発の際に知られるようになる。無人航空機で高解像度の写真を撮影し、迅速に現場の3D模型を構築したことで、救援機関はリアルタイムで全体の画像情報を把握できた。このほか、2009年の八八水害の小林村の土石流、美濃地震の台南‧維冠ビル倒壊、花蓮大地震など、常に同社の無人航空機の姿があった。
羅正方は無人航空機チームを率いて東南アジアにも進出している。「自分の全所有地を見たことのない地主は少なくありません。どれだけ木があるのかも知りません」無人機が飛んで、木は49万7720本あると地主に伝えることができた。一本一本鮮明な写真とGPS座標がある。「次回、木が病気になったら、座標に基づいて治療できます。効率的な資産管理が可能です」
2009年の台風8号による八八水害の時、Geosatの無人機は那瑪夏郷民俗村を空撮し、被災状況の理解に役立てた。