拯民小学校でのTFTスピリッツ実践
雲林県の拯民小学校では、教員の9割がTFTから派遣されており、TFTの精神が最もよく発揮されている学校と言える。僻地教育に使命感を抱く先生たちが、子供たちの品格と学習力の向上を目指している。すべてのカリキュラムは生徒たちのために設計され、授業には日常の暮らしに関わる内容を取り入れて子供たちのモチベーションを高め、自ら学ぶ力を身につける。こうして、廃校目前だった拯民小学校は今では近隣地域からも入学希望者が集まる学校となった。
授業では算数の加減乗除混合問題を実際に理解させるために、子供たちをスーパーマーケットに連れていくこともある。また評価ウィークは一回の月例テストで評価するのではなく、すべての教員が実際の作業や問題などさまざまな形で、子供たちに学んだことを活かして問題を解決させる。結果は点数だけでなく、生徒の学習プロセスを文章で提出する。第2期のTFT教師で今は拯民小学校の総務主任を務める宋婉榕は「試験は子供に点数をつけるのではなく、評価を通して子供がどれだけ学んだかを理解するものです。できないところは私たちがさらに努力すればいいのです」と言う。これは従来の方法とは大きく異なり、教師の努力が試される。生徒の状況を見ながら常に学習のテンポを調整していく必要があり、教師の間でコンセンサスがなければ実現できない。
「品格」というのも困難な命題である。子供が品格を身につければ、それは生涯にわたって大切な資産になるが、どのように教えるのだろう。拯民小学校では、環境を通して少しずつ影響を及ぼしていくという考えで、品格教育をさまざまな部分に内在化させている。例えば、一日の授業が終わると、全校生徒が芝生に座って反省会を開き、先生が今日は誰が良い行ないをしたという話をして、生徒たちも同級生が自分に何をしてくれたかを話す。このほかにも、生徒が品格ある行動をするたびに、教師はすぐにそれを指摘し、どんな良い影響力があるかを話して聞かせる。教えるのではなく、日常的に実践することで少しずつ積み重ねていく。
拯民小学校では、店員に扮した生徒たちに先生が問題を出す。加減乗除の混合問題が出来るかどうかを見て、生徒の学習状況を評価する。(拯民小学校提供)