三食足りて暮らせるように
根を下ろして暮らせるように
対の翼で共に暮らせるように
補習クラスは食事が出るので、子供の食事の問題は解決したが、自分は毎日おかゆを食べ続け、おかゆを見るのも辛くなった。冬には隣から漂ってくるチキンスープの香りに苦しめられた。そんな誘惑に何年も耐えてきたが、今年になって自分で料理を作り始め、やってみるとそれほど難しくはないことを発見した。
父のそんな生活態度に対し、子供たちも応えてくれている。
下の息子は甘えん坊で、お父さんに纏わりつく。上の息子は思いやりがあり、お父さんの苦労を胸にしまっていて、引越しと転校を繰り返すたびに胸を痛めるのは先生や友達との別れではなく、お父さんに制服を買うお金の心配をかけることである。
去年、上の子は誕生日のプレゼントにPS2がほしかったのだが、お父さんの下着が古びているのを見て、プレゼントはいらないから下着を買ってと言ったのである。
そんな呉燦城さんだが、恨みがないわけではない。子供が大きくなり、出来が悪かったり親不孝になることは心配しないが、テレビドラマの大団円のように、何十年か経って子供たちが母親と和解したらどうしようと思う。そんなことになったら、これまでの苦労と犠牲は何なのだろうか。
シングルファザーも子供が大きくなったら役割を終える。自分の将来に対して、呉燦城さんは大きな期待を抱いてはいない。
誰か一緒にいてくれる人がいればと思うが、子供の世話まではお願いできないしと呉さんは言う。だが、今の彼の条件から見ると、お相手探しは難しい。「こんなに貧乏で子供が二人いては避けて通るのが関の山、近づいてくる人はいません」と言う。
その一方、貧乏を除くと、自分にはいいところがたくさんあると呉さんは思っている。
「いろんないいところがあると思いますが、金儲けはだめですね。現代社会の価値観は金儲けで評価され、何ができるか、家族を大事にするかではありません。これまでボランティアをやってきましたが、それも愚かで意味のないことと思われます」と嘆く。
自殺したくなったこともあるが、それでも未来に賭けたいと言う呉さん、これまで結婚も事業も挫折続きだが、まだ負けを認めていない。
「博打も女遊びもせず、外で遊ぶこともありません。家にいないなら、帰る途中の男です」と話す通り、1998年には男性保育士の資格を取り、最近はC級美容ライセンスも取得した。自分にはまだ戦う意思があり、チャンスさえあれば成功できると言う。
「これから自分で立ち上がれると思います。99回失敗しても、最後に成功すれば、子供にも顔が立ちます」と、子供に手本を示そうとしている。君たちのお父さんは、最後まで打ち負かされはしなかったと。