花を愛でる台北花博
今は混んでいるので「ブームが収まったら見に行こう」と考えている人も少なくないが、花博の1日当りの入場者数は増え続けており、早い方がいいと陳雄文は言う。
デザイナーの夏漢明は「建て物は残りますが、閉幕したら花は見られません」と言う。
「花博は一時のイベントではなく、重要なのは生活に取り入れることです」と話すのは文化大学景観設計学部の郭瓊瑩学部長だ。オランダではどの家もコチョウランを飾っているが、コチョウラン育種王国の台湾では家に花を飾る人は少ない。
今回の国際的な博覧会を通して、国民が花に興味を持ち、花を飾ったり育てたりすることが人々の生活の一部になれば、花の「美のパワー」が社会に浸透していくことだろう。
歴代の花博と違う「台北花博」の特色
台北花博は、世界的な園芸花卉業界組織であるAIPH(国際園芸家協会)に認定された国際園芸博覧会である。
この博覧会がアジアで開催されるのは7回目。AIPHは博覧会の会期の長さや海外からの出展の数などによって花博を4レベルに分けているが、台北花博は会期が最も長く、年に1回までしか開催されない最高レベルの博覧会に認定されている。
台北花博の総執行長を兼務する台北市産業発展局長の陳雄文が挙げる台北花博の特色は以下の通り。
1.すべてが台湾製であること。計画から設計、施工、展示、運営まですべて台湾の手で行なわれている。これによって、ハード面の施工能力と台湾の文化や創意といったソフトパワーを世界に示している。
2.都心で開催されていること。これまでの花博の多くは郊外や田園地帯で開催されてきたが、台湾では都市中心部の早くから開発された地域で開催し、これと同時に都市再開発の目的も達成しようとしている。会場が河畔(基隆河)にあるという点も初めてだ。
3.台北花博は初めて先端技術を取り入れた国際園芸博覧会である。最先端のIT技術を駆使して花というテーマを扱っており、AIPHの主席も、これは今後十年の博覧会の手本となると述べている。
4.パビリオンは第1級に属し、新生公園エリアの3つのパビリオンの他、舞蝶館や風味館などは永続的に利用できる。
5.台北花博会場には安全のためのフェンスを設けていない。これは主催機関が住民の自治能力を信頼しているからで、現在までのところ花や施設の損傷も少ない。「台湾の一般市民は信頼に値します」と陳雄文は自信を持って語る。
(張瓊方)
台北花博を彩る美しい花々カルセオラリア(キンチャクソウロイヤル・トリニティマリーゴールドジニアオステオスペルマムマーガレット。
生き物である草花にはそれぞれ生長に必要な過程と時間があり、無理に生長を早めることはできない。
台北花博を彩る美しい花々カルセオラリア(キンチャクソウロイヤル・トリニティマリーゴールドジニアオステオスペルマムマーガレット。
円山公園エリアの入り口に弧を描いて立つ台湾最大のグリーンウォール。
1月に満開の状態で展示するために、福埠実業では3か月前から50品種のチューリップを媒質に植えて冷蔵してある。写真はフリンジのあるハミルトンという品種。
押されたりぶつかったりしないよう、花卉の輸送には特殊なラックと包装が用いられる。写真は福埠実業が清境農場から花を出荷する様子。
花はいつかは萎れてしまうが、蝶は花を求め続ける。台北花博は台湾の花の世界に新しい物語をもたらした。
台北花博を彩る美しい花々カルセオラリア(キンチャクソウロイヤル・トリニティマリーゴールドジニアオステオスペルマムマーガレット。
生き物である草花にはそれぞれ生長に必要な過程と時間があり、無理に生長を早めることはできない。
エリア間を結ぶ「花のトンネル」。写真は美術公園エリアと新生公園エリアをつなぐ「光影森活」、植物の間から差し込む日差しが心地よい。