澎湖の特産品を実験
今では跨海大橋の近くにサボテンアイスの店が多数出ている。一方、馬公の市街地には店構えもユニークな「23.5掌上明珠」がある。ここのサボテンアイスはジェラート風の舌触りで、女性客は色鮮やかなアイスを手に自撮りに忙しい。
23.5掌上明珠氷店では、オーナーの謝玉玲が子供の頃に食べたタピオカの味を再現したいと思い、年配者に勧められてサボテンタピオカの開発に取り組んできた。
だが、サボテンのジュースは100度まで熱すると赤紫だったのが褐色になり、サボテン独特の色が褪せてしまう。この色を保つために謝玉玲はサボテンの皮と種も一緒にミキサーにかけて26倍の濃度まで煮詰め、さらに火にかけて粉末にしてタピオカを作った。こうして実験に成功したのだが、価格は高く、粉1キロで7200元もする。
「バカみたいですよね」と言う謝玉玲だが、こうして開発したタピオカを安いドリンクの材料にする気になれず、かき氷のトッピングにしてお客の目を引くようにした。23.5掌上明珠のサボテンアイスは、サボテン果汁と水と砂糖だけで作ってあり、乳化剤を使わないので普通のアイスクリームほどの粘り気はなく、口に含むとすぐに溶けて果汁になり、淡い果実の香りがする。
赤紫のサボテンアイスのほか、淡いグリーンの海藻風味と、褐色の風茹茶(澎湖のハーブティ)風味のアイスもある。三種類とも澎湖の特産品だ。謝玉玲は作りたてのミルクアイスに海藻の粉をかけたところ、意外にもマッチすることに気づいたという。また、淡い風味の風茹茶はアイスクリームには向かなかったが、3日間、煮たり冷ましたりを繰り返して粘り気を出した。
このように天然の食材だけを使い、手間をかけて作るので原価は高いが、市場を考えて売価を抑えているため、オープンから7年、謝玉玲は今もローンを返済中だそうだ。母親からは「アイスの店を初めて2年でベンツを買う人もいるのに、あなたはまだ借金を返しているの?」と言われる。それでも楽観的な彼女は、ダンスのインストラクターをしながら店を続けている。
「皆さんにサボテンアイスを食べに来ていただき、これを澎湖のブランドにしたいのです。競争は激しいですが、その方が力が発揮できます」と話す謝玉玲は、サボテンアイスは屋台のB級グルメではなく、世界的ブランドにできるはずだと信じている。
易家仙人掌氷の壁の色はサボテンの果実を表現している。