台湾文化が受賞の鍵
ブランド設立から3年足らずで、大田は連続2回、台湾精品賞を受賞した。大田の新創事業部の朱英彰マネージャーによると、受賞の理由としては製品にハイテクのカーボンファイバー素材を使用していることもあるが、台湾の本土文化の特色を取り入れたデザインが特に鍵になったという。
李孔文は、新創事業部を設立してから製品設計に台湾文化の特色を取り入れるようにと要求した。これが台湾のソフトパワーを発揮し、製品に付加価値を与えることになったのである。
Volandoは台湾各地に文化的要素を求めて設計に加え、これまで11機種に、台湾イメージの図案を取り入れている。
自分ではゴルフも下手だし、自転車にも乗らないと言う李孔文は、普段は芸術を愛し鑑賞にも熱心である。大田の700坪の工場敷地のうち、200坪近くが大田生活美学センターであり、2階から上のオフィススペースにも美術品が展示されている。毎日美術品に親しむ李孔文の美の基準は極めて高い。そこで製品製作であっても、ゴルフクラブには工芸品のようなデザインが求められる。自転車も製品であると同時に芸術品でなければならない。
ジャイアントやメリダのような長年の経験と流通の利点はないが、新素材と文化的実力の特色で、大手に対抗できるという。またブランド確立は長期的な事業で、これまで2年は台湾南部で実力を培ってきたが、今後は北部に展開し、中国大陸市場への進出も目指していく。
大田精密は業態転換を成し遂げて自転車ブランドを創設し、台湾の従来型産業に希望をもたらした。