イギリスの著名料理家ジェイミー・オリヴァーは、以前から食育に力を注ぎ、健康的な手作り料理の普及に努めている。ナチュラル派の彼は大自然を愛し、70品にのぼるピクニックレシピも考案している。そのレシピは変化に富み、スペアリブやピザ風のポケットサンドなどもある。
ピクニックの主流は洋食だが、それは西洋の食文化と関わっている。軽食をシェアするという方法がピクニックにふさわしく、特にピクニックと言えばサンドイッチを思い浮かべる人が多い。
サンドイッチにアイディアを
パンに具を挟めばサンドイッチになり、作るのは簡単、持ち運びや片付けにも便利で、ピクニックの定番である。
標準的なサンドイッチは、食パンにハムやレタスを挟むというものだが、そこに工夫を凝らせばさらにバリエーションが豊かになる。
サラリーマンの多くは、毎日のように朝はベーコンや卵のサンドイッチを食べているので、ピクニックにそれを持っていく気にはならないが、少し変化させるだけで趣が変わる。
同じベーコン・エッグをどう変化させるのだろう。ベーコンとタマネギを炒めて卵を流し入れ、チーズを加えて塩コショウで味をつけ、レタスと一緒にパンに挟むだけで、いつもとは違うサンドイッチになる。食パンをフランスパンに変え、縦に切ってサンドするというのもいい。
料理とピクニックが好きなブロガーのCattyもサンドイッチのアイディアを提供する。厚切りの食パンを幅3~4センチに細長く切り、ディップを塗ってハムや卵、ツナ、あるいはバナナ、チョコレートなどをトッピングするというものだ。さまざまな味が楽しめ、見た目も美しい。
サラダもサンドイッチと並んでピクニックに欠かせない。レストランAfternoon Teaのシェフ、王貞婷は、ヘルシーで栄養豊富なヨーグルト・フルーツサラダを提案する。
レタス、オレンジの果肉、イチゴジャム、無糖ヨーグルトに、カットしたバナナやリンゴを用意する。バナナやリンゴは色が変わらないようにレモン汁をかけておき、レタスと一緒にガラス瓶に入れる。イチゴジャムとオレンジの果肉とヨーグルトを合わせたドレッシングは別の瓶に入れておき、食べる時に両者を合わせればよい。
王貞婷が注意点として挙げるのは、ジュースやビネガーなど酸味のある食品は、琺瑯やガラスなど、酸に強い容器に入れていくということだ。
幸せを運ぶ
スイーツと飲み物
ピクニックにはデザートも欠かせない。中でも食べやすいドーナッツが人気だが、カロリーが高いのが気になる。そこで、人気ブロガーのAshleyは、簡単な蒸しケーキを提案している。作り方は次の通りだ。パンケーキミックスと牛乳と卵を混ぜ合わせた中に、チーズを加え、好きな型に流し入れ、蒸し器で8~10分蒸すだけである。
夏は自家製のアイスキャンディもヘルシーでピクニックにふさわしい。マンゴーやスイカ、キウイなどで簡単にカラフルなアイスキャンディができる。3種類の果物を、それぞれフードプロセッサーでペースト状にし、型の3分の1まで1層目を流し入れて30分冷凍し、次に2層目を入れて再び30分冷凍する。3層目を流し入れたら、棒を差して3~4時間冷凍すれば完成である。保冷袋やクーラーボックスに入れていけば、屋外でも楽しめる。璐露野は、軽いアルコール飲料もピクニックの気分を盛り上げてくれるという。
東洋風のピクニック
洋風のランチはピクニックにふさわしいが、東洋の食文化の中にも屋外で食べるのに便利な料理はあり、準備も比較的簡単に済む。
「日本では、おにぎりが定番です。持ち運びに便利ですから」と話す璐露野は、中華料理の中にも類似した料理があるという。チマキや潤餅(台湾風の生春巻)などである。
端午の節句に食べるチマキだが、台湾では四季を通して手に入る上、具材もいろいろバラエティに富んでいる。甘いチマキや冷やして食べるものもあり、ピクニックには非常に便利だ。潤餅(台湾風生春巻)は、伝統の風習では清明節に食べるものだが、春巻きの皮さえ買ってくれば、あとはピータンや干し豆腐、豚肉、干し蝦や野菜などを包むだけでよい。あるいは、ベーコンやチーズ、ソーセージ、レタスなどを巻けば、中華と洋食を折衷した一品になる。
このほかに、ベトナム風春巻やタイ風のソムタム(青パパイアのサラダ)、それに日本の寿司なども、アジアン・テイストのピクニック料理になる。洋風のスタイルに飽きてしまったら、ぜひ試してみたい。
ピクニックに持っていく料理は、それぞれに好みで選べばいいし、行き先によってスタイルを変えてもいいだろう。
ピクニックに行きたい場所
台湾にはピクニックのできる場所がたくさんある。交通の便利な都会の公園から、山深い静かな秘境、あるいは陽光が降り注ぐビーチまでピクニックをする人の姿が見られる。では、どのような場所に人気があるのだろう。
台北市内でピクニックができる場所と言えば、すぐに思い浮かぶのは、ホワイト・ピクニックが行われたこともある華山の広場であろう。華山文創パークの横にあって交通の便もよく、台北市内では珍しく広々とした芝生が広がっている。
同じく都市型のピクニックで、台北以外では台中の草悟道広場や台南の奇美博物館などが景色も美しい。高雄の駁二特区と高雄美術館にも芝生の広場があり、南台湾の陽光を浴びて心地よいひと時を過ごすことができる。
近年は、台湾でもサーフィンを楽しむ人が増え、サーフィンやビーチバレーをしながら砂浜でピクニックをする人も増えた。基隆の外木山や花蓮の七星潭のビーチは美しく、西部海岸新竹の南寮漁港も人気がある。
一方、豊かな山地に恵まれた台湾には数々の秘境があり、大自然の中で静かにピクニックを楽しみたいという人は山へ入ってみるのもいいだろう。「山道を登っていくと、しばしば驚くような景色に出会えます」とピクニックの達人、璐露野は言う。ある時、彼女は坪林の山の中で思いがけず誰もいない小さな滝を見つけ、以来、そこがお気に入りの避暑地になったという。また、南投の桃米親水公園や台北陽明山などでも、自然に囲まれてゆったりとピクニックを楽しめる。
だが、どんなにおいしい料理を用意しても、どんなに美しい景色の中へ行っても、最も重要なのは一緒にピクニックを楽しむ仲間である。家族でも友人でもいい。一緒に楽しいひと時を過ごすことこそ、ピクニックの最大の歓びだ。
美しい湖と山を眺めながら、日本風の冷やし蕎麦と寿司を囲めば料理も景色も一層引き立つ。写真は宜蘭県の龍潭湖。(璐露野提供)
色鮮やかな飲み物とデザートも用意すれば、気持ちはさらに晴れやかになる。ビスケットやフルーツなら手軽に用意できる。
色鮮やかな飲み物とデザートも用意すれば、気持ちはさらに晴れやかになる。ビスケットやフルーツなら手軽に用意できる。
自家製のフルーツソーダと手作りのスイーツ。サンドイッチも少し手間をかけて盛り付ければ、いつもよりおいしく食べられる。(璐露野提供)
自家製のフルーツソーダと手作りのスイーツ。サンドイッチも少し手間をかけて盛り付ければ、いつもよりおいしく食べられる。
海に囲まれた台湾では、美しいビーチもピクニックの場になる。夏のフルーツと東南アジアのエスニック料理がぴったりきそうだ。
海に囲まれた台湾では、美しいビーチもピクニックの場になる。夏のフルーツと東南アジアのエスニック料理がぴったりきそうだ。(遠流出版公司提供)
海に囲まれた台湾では、美しいビーチもピクニックの場になる。夏のフルーツと東南アジアのエスニック料理がぴったりきそうだ。(遠流出版公司提供)
華山文創パークは台北市内で最も人気があるピクニックの場だ。週末の午後には、ここの芝生でピクニックの楽しむ人の姿が見られる。