スーパーでのプラスチック削減作戦
プラスチックごみの大部分は小売業で使用されている。見た目が良く、一度の使用でそのまま捨てられるプラスチック包装は、消費を奨励する資本主義社会において切り捨てがたい部分だが、それをどう克服すればいいのだろう。
人口密度が高い新北市三重区で、プラスチック包装をしない小売店Unpackaged.Uを経営する黄尚衍は、独自の方法を試みてきた。
その50坪余りの店舗では、米などの穀類や食用油、塩、醤油、酢、ナッツ、ドライフルーツ、茶葉など、必需品を500種あまり扱っている。
壁一面に並んでいるのは、五穀・雑穀が詰まった保存瓶だ。白米や胚芽米のほかに、珍しいもち麦やレンズマメ、ヒヨコマメなどもあり、それぞれに透明な瓶に入っている。まるで昔の駄菓子屋のような親しみやすさを感じる。
午後5時を過ぎると、静かだった店に客が増えてくる。子供を連れた若い母親たちの多くは、この店のルールに慣れているようだ。まず持参した容器を取り出してカウンターで重さを量り、その容器に商品を入れた後で、容器の重さを差し引いて値段を計算する。
黄尚衍の仕入れは大型の包装で、5キロ単位になることもある。仕入れた食品は小分けの包装をせず、種類によって異なる保存容器に入れて並べ、消費者は持参した容器に必要な量だけ入れて購入する。
「米なら1合からでも販売します」と黄尚衍は言う。消費者が容器を忘れたり、急に思い立って買いたい時は、店内で販売しているガラス瓶を購入すればよい。いずれにしても可能な限りプラスチック包装を排除しているのである。
量り売りの場合、しばしば疑問視されるのは商品の標示や保存の問題だ。そこで黄尚衍は仕入先にSGS検査報告の提供を求めており、すべての商品のブランドや産地、開封日、保存期限、成分などは保存容器のラベルに表示している。黄尚衍によると、実際には量り売りの商品は売れ行きが良く、消費期限を越えてしまうのは、少数の包装された商品の方だという。
常に先頭に立って活動する主婦連盟もさまざまな行動をしている。早くも1993年から共同購入を開始し、最初は200人ほどの規模だったのが、今では7万人もの会員がいる。50か所以上の受け取り地点を設けており、「消費を通して世界を変える」という精神を貫いている。
生鮮食材には包装が欠かせないが、主婦連盟の生活協同組合では、紙を使ったり、包装材をリサイクルするなど、さまざまな実験を重ねてきた。しかし、会員が増えるに連れて供給量が間に合わなくなり、また包装材のリサイクルで食材が汚染される可能性があるということで停止せざるを得なかった。
そこで、コストが高くても紙の箱やトレイを選び、肉類や冷凍食品の見た目をよくするためのプラスチックトレイをやめ、根菜類は回収できるネットに入れ、会員にリサイクルを奨励する。そして他に手段がない時にはプラスチックを使うが、もちろん少なければ少ないほどよい。
プラスチックフリーのエコバッグ、ハンカチ、マイ箸、弁当箱などを携行することが、誇らしいファッションとなった。