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【ひとこと】『草上の昼食』
文・彭蕙仙
9月 2015
今月の「光華」カバーストーリーのテーマはピクニックである。読者の中には、ピクニックなんて日常の平凡な事柄ではないか、とお思いの方もいらっしゃることだろう。しかし、本当に平凡なことだろうか。小学校を出てから、ピクニックに行ったことがあるだろうか。生活に追われる大人たちにとって、ピクニックというのは実は容易なことではないのである。今、アジアではピクニック革命が巻き起こっており、台湾でもピクニックを通してライフスタイルを変えようという動きが始まっている。ピクニックは、決して簡単ではない一つの任務になったのである。
現代人の暮らしにピクニックがよみがえったのにはいくつかの要因がある。一つは大自然に触れたいという思い、第二は、より緊密な人間関係を築きたいという思い、第三は食の安全にかかわる事件が続き、人々が自分で料理をするようになったことである。ピクニックと野原は不可分の関係にある。それは1863年にエドゥアール・マネがピクニックを描いた作品に「草上の昼食」という題をつけたことからも分かる。台湾のピクニックブームも台北の草地から始まり、ピクニックイベントは常に野原で行われている。都会に暮らす人々がピクニックに熱中するのは、最も簡単に大自然に親しめるからかも知れない。今月号では、無垢舞踏劇場の芸術監督・林麗珍にお話をうかがった。彼女は20年をかけて舞踊劇を3作創作した。その緩やかな美学は、観客にスピードについて考えさせ、永遠を体験させる。もう一人、注目したいのは欧州在住のピアニスト陳瑞斌である。郷愁を切り口とした記事を読むと、何かを成し遂げて芸術の大家となるには、人知れぬ孤独の日々など、多くの犠牲を払わなければならないことがわかる。暑い日が続くが、今月の光華をお読みになればハートも熱くなることだろう。台湾の若者と「靴」に関わる2つの記事である。楊右任と陳玟潔は、それぞれ異なる方法で世界の貧しい子供たちの命を守るために靴を贈る活動をしているのだ。それをどうやって成し遂げたのか。じっくり取材した記事をお読みいただきたい。
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