あなたの知らないインドネシア
新南向政策が話題になり、現地に十数年暮らしてきた頼珩佳はその経験や見聞を『那些你未必知道的印尼(あなたの知らないインドネシア)』にまとめた。この本を書いたきっかけを頼珩佳はこう話す。ASEAN経済が成長するにつれ、出張でインドネシアを訪れる人が増えたが、その多くが「想像していたのと違う」と話すのを聞き、「外国人や台湾人はインドネシアをどう見ているのだろう」と疑問に思ったのである。
当時、インドネシアは注目されていたが、台湾の出版市場にインドネシア関連の書籍はまったくなかった。そこで、長年現地に暮らしてきた頼珩佳は、多くの人にインドネシアを知ってもらうために書く使命があると感じたという。
一年余りをかけ、仕事の合間に書き上げた本の内容は盛りだくさんである。チャイナタウンの食文化、インドネシアの職場文化、台湾では知られていないイスラム教文化、そして異郷での暮らしなどである。最初に書いたのは、台湾とインドネシアにおける華人文化の違いで、これはインドネシア華僑に嫁いだ彼女自身の経験がもとになっている。
昨今の新南向ブームの中、頼珩佳は東南アジアの中でもインドネシアは良い拠点になると考えている。人口は2.6億人、人口ボーナス期にあり、独特の文化を持ち、全体の7~8割がイスラム教徒である。こうした市場の特性を把握できれば、大きな発展を見込むことができる。
これまでの両国の交流においては、台湾人がインドネシアを訪れる方が多かったが、頼珩佳はより多様な交流が可能だと考えている。例えば、台湾の大学はインドネシア人学生にとって留学先の選択肢のひとつである。また医療サービスが不足している中、台湾のハイレベルの医療の質は、インドネシアの富裕層にとっては大きな魅力になっている。
現在、多くの人が興味を抱いてインドネシアを訪れる。インドネシアはどのような国なのかという問いに対し、頼珩佳は十数年暮らしてきた経験から、「ここは豊かで多彩な文化を持つ、心温かい国です」と答える。
ジャカルタの街頭では今も三輪自転車タクシーが客に声をかけてくる。
アジア太平洋文化デーのイベントでインドネシアと台湾の文化交流が深まった。(林格立撮影)
インドネシアは豊かで多彩な文化を持つ心温かい国である
「インドネシアはどんな国か」という問いに対し、現地に暮らして十数年になる頼珩佳は自らの経験から「豊かで多彩な文化を持つ心温かい国」と答える。