急速に高齢化が進む台湾
現在、台湾の65歳以上の人口は全体の11%だが、2017年には「高齢社会」とされる14%に達する。高齢化は想像を超えたスピードで進んでいる。
台湾の高齢者260万人のうち1割は生活に手助けが必要だが、9割は平慶雲さんや曹桂嵩さんのように健康で自分で行動できる。
これまで政府や民間の老人福祉機構は、支援を必要とする高齢者のケアに重点を置いてきたが、近年は健康な高齢者の病気予防が根本的な対策と考えられるようになってきた。この十年、欧米では高齢者政策の重点が変わり、高齢者の健康維持、社会参加、安心できる社会づくりに力を注いでいる。
台湾でもこれを導入し始めた。2009年、内政部は「高齢者に優しいサービスプラン」を打ち出し、年齢差別のない社会を目指すとしている。では、アクティブ・エイジングはどう実現するのか。
台湾大学ソーシャルワーク学科の林万億教授は、アクティブ・エイジングの三つの柱は社会参加と健康と安全だと説明する。EUで最も重視されているのは社会参加だ。雇用、ボランティア、健康促進、教育訓練など、健康で生産力を持つことがアクティブ・エイジングの核心的価値とされる。
2000年に世界一の高齢化社会となった日本の取り組みは参考になる。日本では1980年から各地に「シルバー人材センター」を設け、シニア世代が公園清掃や駐車場管理、翻訳、木工、受付などの仕事を請負えるようにした。これにより高齢者はポケットマネーが得られ、医療支出も減らすことができる。
老人福利連盟の呉玉琴によると、日本には1597のシルバー人材センターがあり、会員数は78万人、その平均年間医療費は22万円で、日本の高齢者平均医療費の年64万円を大きく下回っている。
だが、これを導入するには、まず台湾社会の固定観念を打破する必要がある。台湾では、お年寄りが働くことは不幸なこととされ、また若者の雇用を奪うと言われるのである。
内政部の2009年老人状況調査によると、我が国の65歳以上の就業率は11.17%、約20万人で、その51.3%は農林漁業に従事、サービス業が14.8%、非技術労働が11.2%となっている。65歳を過ぎても働くのは、生活のためが最も多く、続いて健康維持、老化防止、社会参加、仲間作りとなっている。
行政院の2012年の統計では65歳以上の就業率は8.1%で、近隣の韓国(30.6%)、日本(19.9%)、シンガポール(17.6%)よりはるかに低い。
孫と遊ぶもよし、のんびりと過ごすもよし。シニアライフはもう一つの新たな人生である。