台北海外和平服務団による支援
以前は、遥か遠いタイ・ミャンマー国境の難民の境遇が台湾で広く知られることはなかったが、1996年に台北海外和平服務団がタイ政府の招きを受けて現地の難民を支援することになってから、状況は変わってきた。
1996年、台北海外和平服務団は台湾のNPOとして初めてタイ・ミャンマー国境地帯に入った。児童教育や女性の訓練、移住労働者の教育などが主たる活動内容である。近年は、難民キャンプ内での幼児教育と同じく難民の教員養成、学校給食プランに重きを置いている。支援対象は、収容人数が最も多い最北端のメラ難民キャンプと、南のヌポとウンピウム難民キャンプである。
葉静倫によると、最大の人数を収容するメラ難民キャンプは、幼稚園、小学校、中学高校から大学まで設けている唯一の難民キャンプである。幼稚園は23あり、それぞれに可愛らしい名前がついているが、空間と教員は不足している。
20坪ほどの空間に5学級が入り、その間をビニールシートで仕切っているだけだ。5学級の生徒40~50人がそれぞれの教室で朗読すれば、他の声が気になって集中できない。
教員の多くは難民キャンプ内の女性で、学校教育の経験はなく、高卒の人が何人かいるだけである。そこで、台北海外和平服務団はキャンプ内の組織であるカレン女性委員会と協力し、教員養成プランを進めてきた。
36歳のNaw Lah Say Klahさんは2008年に教員養成プランの指導員になった。彼女は動乱の続く故郷を離れて2006年に難民キャンプに入り、離れ離れになっていた家族や親戚と再会できた。一時的な安全は確保されたものの、子供たちの教育が気がかりだった。6年前に生まれた息子は、キャンプ内で教育を受けているが、その学歴はタイ政府もミャンマー政府も認めておらず、将来に大きな不安が残る。
先行きが見えない中、難民を送還するという話も出ており、彼女は今を懸命に生きるしかないと言って笑う。2008年に台北海外和平服務団の教員養成プランに参加して以来、一番楽しいのは学校で新しい教員を指導したり、各地の幼稚園を視察したりすることだという。教員や生徒たちの成長を見守るのが何よりの楽しみだ。
現在、台北海外和平服務団難民教員養成プランの中で、Naw Lah Say Klahさんのように指導を担当する人は20人おり、第一線の一般教員の人数は200人に上る。難民キャンプでの支援を開始して20年、台北海外和平服務団も第一線を退き、キャンプ内の難民組織に任せている。
いつかミャンマーに帰った時のために、自らも難民である先生たちはカレン族の言葉とビルマ語と英語の3言語を学ばなければならない。