古い皮製品、チェックのスーツ、男性のための理髪店…これら文化の薫りがただよう品物や空間は独特の気品を感じさせるとともに、スタイルやセンスを象徴し、テクノロジーには感じられない温もりを持つ。
今月の「光華」は「レトロブーム」の背景にある数々の物語をご紹介する。ベテラン職人が新たな感覚を取り入れ、数十年培ってきた技術をもって人と物とをつなげば、一見古めかしいものが人々を惹きつける。
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「教育」にはさまざまな形がある。「孩子的書屋」の陳俊朗は、台東の僻地にある集落で、子供たちの成長に寄り添う。貧しい家庭や一人親家庭の子供たちは、陳俊朗の書屋に通うことで自信を取り戻し、自己肯定感を高めていく。さらに重要なのは、自ら学び、自給自足することで地域の結束と情熱をも高めていけることだ。
サキヌの「狩人学校」には一定のカリキュラムはなく、万物の生命を尊重する先住民族の知恵と、大自然と一体となった活動を体験し、継承していくことを旨とする。メンバーは毎年フィリピンのルソン島のコーディリエラ・デイに参加して、東南アジアのオーストロネシア語族と交流している。
「台湾のムエタイの父」と称えられる李智仁は、ムエタイを教えて17年、その教え子は世界各地で活躍している。日本やフランス、スペイン、ドバイなど、20数ヶ国からも多くの人が弟子入りし、積極的に内外の試合に出場している。彼が運営する高雄の「仁李泰拳館(ムエタイ・ジム)」では、「武を学ぶにはまず徳を学べ」という理念を貫き、基礎を積むことを重視して台湾にムエタイを普及させている。
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世界をつなぐ一本のケーブルは、かつて世界各地から台北101を訪れる観光客を支え、また受刑者たちはその洗浄の過程で人生に希望を見出している。そのケーブルは、康木祥の手によって剛と柔を兼ね備えた台湾の精神を象徴するアートへと生まれ変わる。その作品「双生」はワシントンの双橡園(Twin Oaks)に寄贈されて永久保存されることとなり、ケーブル塑像が外交の一翼を担っている。
さらに今月号では「光華」編集部がタイを訪れ、同国の経済発展計画「タイランド4.0」が生み出すビジネスチャンスを探り、現地の台湾企業のお話をうかがった。また、台湾の医療チームが世界各地で推進する公衆衛生医療援助もご紹介する。エスワティニでは妊産婦と新生児の死亡率低下に取り組み、ベリーズでは腎臓病予防治療計画を推進する台湾の医療チームの貢献と成果をお読みいただきたい。