先を急ぐもよし、のんびり行くもよし。ビルの谷間から山地や海辺まで、時には乗換え駅の空間で足を止めるのも悪くない。スピードを味わうのも、何もしない時間を楽しむのも、すべてが旅の風景である。
台湾の至る所に旅の足跡が残る。台湾南北を移動する旅もあれば、街の路地を歩く旅もある。のんびりと山間や海辺の町を行くのもいいし、短い通勤の道も旅と言える。郊外へのハイキング、見知らぬ土地への観光旅行、山や水辺でのレジャー、名勝巡り、仕事の視察旅行、極地探検、放浪の旅……、いずれの旅も高速鉄道や在来線、道路、MRT、あるいは自転車等を足とする。そこを流れていく風景は、台湾の庶民の日常の縮図である。
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これまで高雄、宜蘭、基隆をご案内してきた光華の「地方めぐり」シリーズ、今回は「文化の町」と称えられる台中を訪ねる。台湾の中央に位置する台中は、陸海空の交通の便もよく、常に新しいものを求める文化政策が積極的に推進されている。都市のスタイルを鮮明に打ち出したさまざまな活動が時代に新たな流れを起し、都市に国際的視野と輝きをもたらしている。
「美術と工芸」では、山あいの九份でひっそりと暮らしつつ、圧倒的な美で世界に知られる「釘絵」の大家・胡達華の作品をご覧いただきたい。空き缶から金属片を切り出し、それを板に打ち付けて制作するモザイク画には、郷土への思いがあふれている。
国際合作発展基金会(ICDF)と協力してお届けする「台湾の対外援助」では、ICDFの20年にわたる国際社会へのさまざまな援助活動をご紹介する。資金援助から技術協力、人道支援、そして国際教育訓練まで、ICDFは数々の成果を上げてきた。中南米諸国では工芸や技術指導による援助計画を早くから行っており、それらは友好国の産業レベルを高め、台湾の名声をも高めている。
「伝統工芸の再興」では、新北市三峡の古い町並みを見ていく。百年前に繁栄を謳歌した三峡の街区は、その後衰退し、再建され、生まれ変わった。その土地が育んできたのは地元を愛する多くの職人である。彼らは代々受け継いできた技術と精神を守り、そこに新たな文化と若い世代の価値を融合させている。
「注目の映像作品」は、台湾の映像制作者が国際メディアを通して世界に発表する中国語ドラマ『通霊少女』である。これは台湾独特の文化をテーマとした台湾オリジナルの作品で、台湾のクルーが製作し、国際チャンネルを通して世界で放送される。
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急いで行くか、のんびり行くか。出発し、足を止め、出会いと別れを繰り返す。立ち止まっては再び前へ進む——人生もまた同じである。