今年8月に台湾大学物理学大学院を修了したばかりの高至豪さんは28歳、その名の通り、若くして豪気と志を持つ。特に最近、同級生が軍隊で自殺して亡くなったことに驚き悲しむと同時に「人は自分の志と興味を持ち、チャレンジするべきだ」と強く思うようになった。
FunLearnは、彼が台湾大学の仲間と一緒に生み出したものだ。
音楽を愛する高至豪さんは、長年にわたって自分の作品をネット上で発表し、Pianoboyの名でかなり知られていた。FunLearn学習サイトは、彼の「分かち合い」の精神から生まれたもう一つのサイトだ。
台湾大学の学生の多くは家庭教師のアルバイトをしている。高至豪さんも例外ではなく、家庭教師や塾の講師で小遣いを稼いできた。教えるのが好きで上手だという彼は、アメリカのTeacher Tubeに倣い、自分の講義をネット上で公開することにした。勉強はしたいが、塾に通えない子供たちに提供するためだ。
昨年4月、彼は3人の同級生と資金を出し合ってビデオカメラを買い、自作自演で自分の講義を録画して公開し始めた。多くの中高生が最も苦手とする確率や不等式、等差級数、連立二元一次方程式、熱力学、流体力学などの理数系の講義を一つ一つ公開していった。1回10〜20分の分かりやすい授業は、理科や数学に対する中高生の苦手意識を解消する。
このサイトはすぐに大きな反響を得た。多い日には1日2000人がアクセスし、今年10月現在ですでにのべ75万人がアクセスしている。その講義の効果は、生徒たちのメッセージを見れば明らかだ。「学校の授業よりわかりやすい」「中学・高校の理科と数学は、ここが頼りです」とある。
ただ、リアルタイムにインタラクティブな対応ができないのは大きな限界である。この点では、彼らはボランティアとして運営しているため、長時間オンラインで対応するのは難しいという。高至豪さんは、FunLearnは補助的なもので本当の授業に取って代わるものではないため、質問がある場合は、他の方法で答えを探してほしいと考えている。学校の先生に聞いてもいいし、BBSやPPTに質問を貼り付ければ、ほとんどの場合、回答が得られるはずだ。
現在、サイトでは100本近い講義ビデオを公開しているが、内容はまだ完全ではない。高さんは2年以内に中学と高校の理科と数学の講義を完成させたいと考えており、より多くの人に参加してほしいと思っている。
「知識の共同創造と共有という理念の下で『オンライン無料ビデオ学習プラットホーム』を確立し、多くの先生に参加してほしいと思っています」と高さんは語る。現在彼らのサイトの講師陣は10人で、台湾大学大学院生の他に塾の講師もいる。学習機能をより高めるため、彼らはYouTubeのように先生方が自由に自分の講義を公開できるプラットホームにしていきたいと考えている。
昨年、高さんはFunLearnをもって若水社の「社会起業コンクール」に応募したが、明確な収益モデルがないというので投資対象に選ばれなかった。しかし、彼は気にしていない。「私は若水の提唱する社会的企業の理念に賛同していますし、将来的にはその方向に向かいたいと思っています」と言う。
「分かち合いは人間の天性です」と話す高至豪さんは、知識のシェアは自分の損にはならず、むしろ多くの友人が得られ、教えることで学べることもあるので得るものは多いと言う。「YouTubeもこうして生まれたのですから、FunLearnにもできるはずです」彼は、分かち合いの芽が大きく成長することを期待している。
カメラさえあれば自宅でも講義を録画できる。お金を出し合って買ったビデオカメラの2万6000元が彼らの最大の出費だ。