世界トップレベルの研究センターを繋ぐ
「政治大は東南アジア研究を強化するに当り、始めるならばと、世界の東南アジア研究センタートップ10と備忘録を交わしました」東南ア研非常勤研究員‧王雅萍は、学術界のブロックチェーンに喩える。2015年、政治大は東南ア研の設立準備事務所を立ち上げ、中央研究院社会学研究所上席研究員の蕭新煌教授の仲立ちで、東南アジア研究分野でリードする京都大学東南アジア地域研究研究所と協力することになった。こうして、政治大学国際関係研究センター副主任‧楊昊教授が事務局長を務め、ベトナム社会科学院東南アジア研究所、フィリピンSEASREP等とパートナーシップを結んだ。
東南ア研が実施する様々な活動のうち、フィリピンワークショップは人材交流の実践の場である。パートナー関係の強化、多様な学術ネットワークの構築と共に、若い研究者が異なる視点から社会の課題に取り組むよう促す。「若い研究者には現地でのフィールドワークや海外調査が必要です」ワークショップで若い学者を海外へ送り、現地の優秀な大学教員から学び、機会があれば地域の文化や情緒に触れ、現地社会が直面する問題を理解する。「教室で『視点』を学んでから、フィールドで観察する。そうすると、台湾と東南アジアには共通の課題がたくさんあることに気づきます」と王雅萍はいう。
王とワークショップのメンバーが一緒に訪ねたイフガオ棚田は、1995年にユネスコ‧世界遺産に登録された。ところが、人類の知恵の結晶である大規模な灌漑システムも、社会の急激な変化により、若い世代の人口流出に直面し、棚田の崩壊と祭や文化の消滅の危機にさらされている。「台湾とフィリピンに共通の状況です」
こうしたワークショップはフィリピンの政治‧社会‧文化‧教育‧経済発展を掘り下げて理解し、座学に続いて実際に訪ねる機会をもつ。各国から来た大学院生と意見を交換できるから、より現地に寄り添い、外からの視点だけに陥らない。
フィリピンの冬期研究ワークショップで、参加した青年たちはサンチャゴ要塞を訪れて現地の歴史と文化にも触れた。