ドリンクに込められた気持ち
今ではシェイクティーのブランドは無数にあり、商品も多種多様である。
どの店に行っても、牛乳を入れたお茶があるが、実は十数年前はこれは珍しいことだった。2004年に牛乳を入れたドリンクを中心に打ち出した迷客夏(Milksha)は、台湾のドリンクに、もう一つの可能性を開いた。総経理の黄士瑋によると、牛乳は原価が高く、コーヒーフレッシュを用いたミルクティーは25元なのに対し、牛乳を使った迷客夏の商品は35元である。コスパを重視する時代に、本物の牛乳にこだわったブランドは珍しいと言える。一般のミルクティーより4割も割高な商品をどう売るかが迷客夏の課題だった。
黄士瑋が出した答えは、品質にこだわりつつ、店舗の質感を高めることだった。多くのドリンクスタンドがステンレスのカウンターなのに対し、迷客夏では木の質感とグリーンとグレーを基調に店舗をデザインした。
天然の素材にこだわった迷客夏は、当初から色素や防腐剤の入っていない白いタピオカを開発した。世界では「産地から食卓まで」と言われているが、彼らが主張するのは「産地からカップまで」で、本来の形のままの素材を用いる。例えば、看板商品の「タロイモミルク」の場合、新鮮なタロイモを各店舗に配送し、店舗でタロイモを蒸してマッシュし、牛乳と合わせる。黒糖も出来合いのシロップではなく、各店舗で二号砂糖(ざらめ)と黒砂糖を炒めてシロップにする。「炒めた香ばしさがあるのも、迷客夏の特色です」と黄士瑋は言う。
「私たちのドリンクは安心して飲めます。原材料はすべて天然のもので、人工の添加物は加えていませんから」と話す黄士瑋は迷客夏のチームを率い、自分の子供に飲ませるつもりで、安全でおいしいドリンクを作っている。彼らは現在、台湾に260店を持ち、今年2月には、タロイモミルクとヴァローナ100%ココアミルクの2つが、A.A. TASTE AWARDSの三つ星を受賞した。
林峻丞(左)と李冠璇(右)は春芳号を設立した当初から、このブランドを世界に打ち出そうと考えてきた。