デジタルアーカイブ・精彩を放つ台湾の歴史
「台湾古写真上色」のウェブサイトとフェイスブックでは、色鮮やかな古写真が何枚も見られる。初期の台北のバスが銀色に輝いている写真からは、その時代の乗客の姿や生活が垣間見える。当時の皇太子裕仁親王(後の昭和天皇)の12日間に亘る台湾訪問時の写真もあり、軍人らの護衛のもと、屋根なし馬車で練り歩く様子も見られる。
サイト上の色鮮やかな写真は、もとはといえばデジタルアーカイブ内の貴重な古いモノクロ写真だったが、独立系書店「聚珍・台湾」(ジューゼンタイワン)の経営者・王子碩さんはおびただしい量の資料に当たり、台北の初期のバスの色を確認するとともに、日本統治時代の服装や建築物の色合いと照らし合わせた。さらにその時代を生きた人を訪ね、当時の雰囲気を復元すべくこれらの古い写真に手作業で色付けをしたという。
古い写真だけでなく、デジタルアーカイブの映像も、多くの大切な記憶を繋ぐことができる。例えば、聯合報グループが運営するウェブサイト「報時光」の「歴史映像」コーナーでは、歴史的に重要な出来事の数々が動画と文章で紹介されている。台北・大同区のランドマークであった「建成円環」が、日本統治時代の発展を経て、庶民の軽食スポットへと変化し、今日の市民の憩いの場である円形広場となった経緯などがその例だ。
また、台湾中央研究院が構築した「台湾日記知識ベース」には、台湾史に影響を与えた多くの人物の日記が収められている。当時の観点がうかがえる当事者の日記には、社会の移り変わりの軌跡が示されているだけでなく、彼らが生きた時代の様々な思考が反映されている。私的な日記だけに知られざるエピソードも多く、後世にて歴史分析をする際に、リアルで活気あふれるイメージが湧くだろう。
初期の新聞は収蔵しやすいように、マイクロフィルム化や、モノクロネガフィルム化される。