生命と空間の交わり
葉偉立はカメラを手に空間を記録するだけでなく、自らがその空間に入り、長い時間をかけて空間を整理し育んでいく。ここがドキュメンタリー写真家と違う点でもある。画像の完成度から言うと、目に見えない労働のプロセスが作品の重要な部分を成しており、これらの労働の過程は同時に制作されたドキュメンタリーフィルム「入勝(イルミネイテッド・プレゼンス)」に収められている。重要なのは、外部に目を向けるのではなく、一つの空間を新たな角度から幾度も探索し、長期にわたって交わってきた空間において己に内在する時間を見つめている点である。
葉偉立の創作手法は、葉世強の精神と共鳴した。葉偉立は自己の生活の場を水湳洞に移して長い時間をかけて葉世強が生前に暮らした場を研究し、感じ取ることにしたのである。彼はかつて葉世強がこの空間で営んだ日常生活を想像し、その日常を繰り返した。荒れた庭の草を取り、火を起こし、池を修繕し、風が竹林を吹き抜ける音に耳を傾ける。そしてその同じ空間で、同じく6年の歳月を暮らすことで何が起こるのかに興味を持った。こうして異なる時代を生きた二人の芸術家の生命は、空間と「日常の儀式」を通して出会ったのである。