美しい海を大切に
実際の行動は素晴らしい変化をもたらす。屏東県琉球区漁業組合は現在、真の問題を正視している。地域の漁業者から、タチウオやオニアジ、キントキダイ、ギンカガミといった魚が以前に比べて大幅に減少していると報告されてきたからだ。そこで漁業組合は2013年に、小琉球の沿岸から3カイリの範囲での刺し網漁などを禁止し、一本釣りまたは延縄漁に変えるように指導を始めた。取り締まりも行ない、年間十数件の違反案件を取り締まってきた。さらに人工魚礁などを設けて魚群の棲息地を増やし、海洋資源の保全に成功してきたのである。
琉球区漁業組合の李益利によると、トロール漁業はウミガメにダメージを与えるため、これを禁止した後は、ダイビングでアオウミガメなどがよく見られるようになったと言う。タチウオも主に1〜2キロだったのが2〜3キロのものが増え、高値で売れるようになったのである。こうした海洋保護が成功したおかげで、小琉球には多くの観光客も訪れるようになった。
金門県は北西岸の潮間帯に古寧頭カブトガニ保全区を設けている。カブトガニは4億年前からいる生きた化石と呼ばれる生き物で、一度つがいになったら生涯離れないことから「夫婦魚」とも呼ばれる。50年前は台湾の沿岸でもよく見られたが、環境の変化によって20年前からは台湾西海岸ではほとんど見られなくなった。
カブトガニは「難産」と言われており、金門水産試験所では長年にわたってその産卵と孵化をサポートし、幼生を海に返して安定的に数を増やしてきた。今では放流していない雄獅堡海岸でも、カブトガニが浜で産卵する姿が見られるようになった。これと同時に環境教育も続けてきたため、多くの人がカブトガニの保護が重要なことを認識している。
基隆でも、漁業組合と地元住民の要求の下、2016年に15ヘクタールの「望海巷潮境海湾自然資源保全区」を指定した。台湾で28ヶ所目の最新の漁業保護区である。基隆市海洋事務科長の蔡馥❊{によると、2年にわたって厳しく漁を禁じ、ボランティアが海底の漁網やゴミを回収するなどした結果、魚やエビも増えて環境は大いに改善され、東北角海岸で人気のダイビングスポットとなり、訪れるダイバーは6〜7倍に増えたという。国立海洋科技博物館の研究によると、移動せずに一定の地域に棲息するウミガメやウニの数も増えている。以前はハタも小さいうちに捕られていたが、今は海に潜るとたくさんの大きなハタを鑑賞できるようになった。
台湾海域にはチョウチョウウオとキンチャクダイが多数見られ、その種類は世界でも最も多い。(台湾魚類データベース提供)