蘭嶼の海は、まるで鏡のように清らかに澄んでいて、海底に沈む岩石のように深く神秘に満ちている。荒々しい潮の香が漂い、俗世を離れて大海に孤立するその姿は、海と大自然を愛する人々を惹きつける。
ここは台湾でも行くのが最も難しい離島の一つであり、タオ族の文化によって原始のままの手つかずの風景が残されてきた。天に届かんばかりに聳え立つ岩洞や、不思議な枝を伸ばす枯木など、どれもが海洋文化を持つ先住民族と平和に共存している。
蘭嶼で過ごす時間はゆっくりと穏やかに流れていき、人類がいかに小さな存在であるかに気付かせてくれる。黒潮の荒波に立ち向かい、力強く抗ってきたからこそ、蘭嶼は「人の島」と呼ばれるのかも知れない。