李佩香(南洋台湾姉妹会理事長):「南洋台湾姉妹会」が設立されたのは1995年で、高雄市美濃に嫁いだインドネシア人女性たちが発起した中国語教室から始まりました。2002年に私が台湾に嫁いできた時、南洋姉妹会が新北市中和に開いている中国語教室に、夫が申し込んでくれました。
現在、南洋姉妹会の理事や幹事の3分の2は移住してきた女性たちが担当していて、さまざまな母語の人が一緒に会議を開きます。皆さんは、会議に1時間もかけると効率が悪いと思われるかもしれませんが、私たちは会議に3~4時間もかけます。これは彼女たちが家庭から外へ出て、社会的議題に参加していることを意味します。
南洋姉妹会はこれまでに多くの文化活動を行ってきました。美食文化交流活動では、東南アジア料理の背後にある物語を知ってもらい、食卓の故郷の味を通して移住者の人生にも触れてもらっています。これをまとめて『餐卓上的家郷(食卓の故郷)』という本も出しました。
2009年には南洋姉妹劇団も結成し、ドキュメンタリー『姉妹売冬瓜(トウガン売り)』を制作、さらに「水上市場:波濤中的越南」というボードゲームも出してベトナム文化を広めてきました。「我不想流浪」という音楽アルバムも出し、私たちの気持ちを伝えています。
司会者:文化台湾基金会と南洋台湾姉妹会のお話をありがとうございました。最後に私から、『光華』が過去40年にわたって、どのように東南アジアを報道してきたかを振り返ってみたいと思います。1980年代以来『光華』は東南アジアを外国として扱ってきましたが、2015年以降は内部のこととして扱うようになり、新住民は台湾の多様な文化の一部であるという内容が増えてきました。ここからも分かる通り、台湾では東南アジアはあまり馴染みのない存在だったのが、しだいに共存や融合という段階に移ってきたことが分かります。現在、新住民はすでに台湾文化の一部です。新南向政策を今後も推進していくことは、台湾により良い未来をもたらすことにつながるでしょう。
ワークショップでは、参加者は3組に分かれ、文化台湾基金会と南洋台湾姉妹会が中心となって討論した。最後に参加者には台湾の新南向政策に対する意見や期待を書いていただいた。ここにその声の一部をご紹介する。
陳玉水(中山大学コミュニティカレッジ‧ベトナム語講師):
かつては「外国人花嫁」というと、金銭を介した結婚や偽装結婚といったマイナスのイメージがつきまといました。長年かかってようやくわかってきたのですが、台湾社会では「知る機会がないだけで、故意に差別しているわけではない」ということです。しかし新住民は平等な扱いを求めています。
現在の教育課程における学校での母語学習、つまり東南アジア言語の授業は週に1時間ですが、私たちの子供にとってこれでは不十分です。より多くの教材や、多様な学習機会が得られることを願っています。
劉千萍(南洋台湾姉妹会常務理事):
私は台湾とベトナムの血を引く新二代(新二世)です。新二代である私は、台湾には階級意識があると感じています。台湾人と西洋人の子供はハーフと呼ばれるのに、なぜ私たちは新二代と呼ばれるのでしょうか。また、日本語学習は第二外国語と言うのに、なぜ東南アジア7ヶ国の言語については母語学習と言うのでしょうか。自分の戸籍謄本を見ると、私は父方では八代目、母方では二代目になりますが、それでは新二代なのか、それとも旧八代なのでしょうか。台湾にはハリー‧ポッターに出てくる魔法魔術学校のように、目に見えない組分け帽子があるように感じていますし、台湾人の組分け帽子は固定しすぎています。文化推進においては、このような目に見えない組分け帽子をなくし、階級意識を打破することが必要だと思います。
李眉君(台湾学校華僑‧外国人学生同窓会準備委員):
私は台湾に来て33年になり、台湾で最もベテランの新住民です。台湾人は外国人に非常に親切ですが、理解が不十分なため、時々人の心を傷つける質問をされます。もちろん、それはわざとではありません。政府やNGOには、さまざまなルートや機会を利用して、台湾の人々が新住民について理解を深められるようにしていただきたいと思います。